日韓合わせて102名が参加した(東大本郷)

文大統領の住宅政策に注目

2018年9月、東京大学で「2018日韓共同セミナー」が開催されました。主催は日本住宅会議と韓米女性リーダーシップネットワークで、住まい連、住まいの貧困ネットが協賛しました。日韓の住宅問題での本格的なセミナーは初めてのことで、韓国側から20名、日本から100名が参加し、東大本郷の大教室はいっぱいになりました。

午前の部では、基調講演を竹信三恵子さん(和光大学教授)が行い、基調報告では稲葉剛さん(つくろい東京ファンド代表理事)、金承喜さん(江原大学准教授)が日韓の居住貧困の問題を取り上げました。

「都市再生とシェアハウス」―住居福祉の実現(韓国報告)

午後の部では、3つの韓国報告、日本報告がありました。この中で任恵淳さん(コミュニティコンサルティング・クリム代表)の「都市再生とシェアハウス」の興味深い報告を紹介します。

事例(1)公共リモデリングシェアハウス:韓国土地住宅公社が都心の戸建住宅を買取り、リモデリングした後、高齢者、大学生など住居貧困層に市場家賃より3割安く賃貸。

事例(2)ソウル市シェアハウス型公共賃貸住宅:2階建て戸建住宅などをソウル市が買取り、公共シェアハウスとして提供。

事例(3)青年居住タウン:ソウル・シンチョン地域の遊休不動産を青年たちが共有する住居、店舗、事務室として活用、市場価格より4割安い賃貸料で供給。などでこれらを通じ「居住福祉の実現は可能であるか」と問いかけました。

韓国の「幸福住宅」政策と横田千代子さんの報告

文在寅大統領は、幸福住宅政策として新婚夫婦や若者163万世帯に対する住居支援策を提示。この実現のため、公共賃貸住宅25万戸、新婚希望タウン10万戸の供給、若者の住宅安定に5年間で75万世帯の支援を計画など、日本で大いに学ぶべき政策が進められています。

日本報告では新協建設が施設整備の仕事を行っている婦人保護施設「いずみ寮」施設長の横田千代子さんの「住環境の変遷―管理から“暮らしつくり”へ」が心をうちました。2019年は韓国でのセミナー開催が予定されています。

NPO住まいの改善センター理事長 坂庭 国晴