2022年住宅研究・交流集会

2022年度の住宅研究・交流集会が昨年11月5日、豊島区の会場で開催されました。「国民の住まいを守る全国連絡会」(住まい連)など住宅3団体の主催です。
住まい連の坂庭国晴代表幹事は開会あいさつで、コロナ禍で支給要件を緩和した住居確保給付金は約13万5千件(20年度)に支給され、「生活困窮者の下支えとして大きな役割を果たした」として、恒久的な住宅手当(家賃補助)として制度化する必要性を述べました。
住研集会は、高崎経済大学の佐藤和宏講師がコーディネーターを務め、進められました。
国立保健医療科学院の阪東美智子・上席主任研究官が「社会保障としての住宅政策」として基調講演。国民が健康に生きるための「公衆衛生」的観点から住宅政策を捉えるべきと指摘。社会保障としての「居住保障」が必要と強調しました。そして、「社会保障としての住宅政策の課題」として、①公営住宅の役割の再考―供給量の拡大が見込めない中での活用策、②公営住宅以外の住宅セーフティーネットの充実、③住宅行政と福祉行政の連携、を提起しました。
神奈川大学の渡辺久里子助教は「住宅費負担と貧困―現役世代へと広がる住宅困窮」として講演。どの所得階層においても所得における住居費負担率は上がっており、低所得世帯ほど上がり幅が大きいと数値を示して指摘。ほとんどの先進国にある住宅手当が日本にはないとして、住宅手当の必要性を語り、合わせて「家賃統制をどうするか」という問題を示しました。
研究集会には35名が参加し、講演を受け、活発な総合討論が行われました。

NPO住まいの改善センター理事長 坂庭国晴