盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)が5月26日施行されました。1年前の5月、政府は次ぎの説明(同法公布時)を行いました。
「静岡県熱海市で大雨に伴って盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生したことや、危険な盛土等に関する法律の規制が必ずしも十分でないエリアが存在していること等を踏まえ、『宅地造成等規制法』を抜本的に改正して、『盛土規制法』とし、危険な盛土等を包括的に規制します。」
熱海の土石流災害は単に大雨に伴って発生したのではなく、違法な産廃混じりの大量建設残土(発生土)の盛土による人災です。また、「法律の規制が十分でない」としていますが、土石流災害が発生するまで、自公政府は法規制をまったく行わなかったのが現実です。
盛土規制法の施行にともなって、「建設発生土」への対応が行われます。政府が提示している方針はつぎのものです。
1.不法な盛土等の発生を防止し、建設発生土の適正利用等を徹底する観点から、建設発生土の搬出先の明確化を図るものとする。
2.その際には建設工事の施工全般に責任を持つ元請業者側による取組と、建設工事を注文する発注者側による取組を一体的に行うことが重要。
3.さらに、建設発生土のさらなる有効利用に向けた取組や、できるだけ建設発生土の発生を抑制するよう取組ことが必要。
4.廃棄物が混じっている土については、建設現場等において土と廃棄物をできるだけ分別した上で、分別された廃棄物については、廃棄物処理法に基づき、適正な処理を行う。
別表のように、建設発生土の圧倒的多数は公共土木工事です。リニア新幹線工事など大規模公共事業を見直すべきです。また、建築工事の対応も求められます。


NPO住まいの改善センター理事長 坂庭国晴

(別表) 「建設発生土」の工事区分―公共土木工事が8割以上、建築工事が1割強

2012年度2018年度
建設発生土発生量(万㎡)28,705(100%)28,998(100%)
公共土木工事24,436(85.1%)24,425(84.2%)
民間土木工事1,110(3.9%)1,363(4.7%)
建築工事3,159(11.0%)3,209(11.1%)
(建設副産物実態調査結果・国交省)から